2013.10.21 Monday
赤い糸

《寒耐》
優月兄〜、いよいよ今夜やりますか、この土砂降りの雨も味方してくれますぜ!
《優月》
あたぼうよ〜、足跡も残らねえし”かっさらい”には好都合ってもんよ。
《寒耐》
あの雫とやらを連れさりゃぁ、たんまりと金が取れるってもんですぜ。
《優月》
これでこの長屋ともおさらば出来るってわけだ、なあ、寒耐!

《優月》
船頭さんよ〜、ちょいと仕事を片付けてくるから酒でも飲みながらゆっくりと待ってておくんなせぇよ。
《パパ》
へ〜い、承知いたしやした、酒までご馳走になって、ほろ酔い気分でお待ちしておりやす、あっしの事は気にしねえで、ごゆるりと。
《優月》
寒耐、ぬかりはねえな!何があっても死ぬんじゃねえぜ。
《寒耐》
分かってますって、ニャン小僧の名にかけてへたを打つようなマネはしませんぜ。

《優月》
おうおう、話にゃ聞いてたがこりゃかなりの上玉だ、いい金が取れるぜ、どうした寒耐、おめえ、おじけづいちまったのかい?
《寒耐》
優月兄〜、今回の仕事、あっしには出来やせん。
《優月》
今更なに言ってやがる、手ぶらで帰るニャン小僧なんか聞いたことがねえぜ!
《寒耐》
このお嬢はあっしが3つの時に離れ離れになったお方だ、間違いねえ、血を分けた実の姉貴でござんす。

《優月》
なあ寒耐、おめえ、この辺が潮時かも知れねえな、ニャン小僧から足を洗うなら今しかねえって事よ、このお嬢に一言かけてやりな。
おめえの最後の仕事は人助けになっちまったな。
《寒耐》
冗談言っちゃいけませんぜ、ひと目拝めただけで思い残すことは何もねえ、代わりの上玉はめぼしがつけてありますぜ、夜が明ける前にずらかりやしょう。
《優月》
船頭さんよ〜、待たせちまったな、なんだい、出来上がっちまったのかい?そんな涙目でも船が漕げるっていうんだから、餅は餅屋だね〜。
《パパ》
いい仕事、しやしたね〜。
ーなんで今日は一言もセリフがないのよ〜、明日にでもスペシャルバージョン作って頂戴よね!− by 雫